社労士へ委託し原本が自社にない個人情報は、管理台帳への記載が不要ですか?
個人情報管理台帳を作成しています。
雇用保険被保険者資格取得届など、社労士事務所に業務委託をして作成してもらい、原本や控えなどは弊社に戻ってきません。
このように、会社で保管していないものは記入不要なのでしょうか。それとも、保管・破棄欄は空欄のまま、業務委託先などを記入しておくべきなのでしょうか。
ご質問ありがとうございます。社労士事務所への委託業務に伴い、書類の原本や控えが手元に残らないケースですね。
結論から申し上げますと、原本が自社になくても、その個人情報を「取得」し、取り扱いを「決定」しているのが貴社である以上、必ず「個人情報管理台帳」への記載が必要です。
なぜ記載が必要なのか、空欄ではいけない理由は何か、実務上のポイントを整理して解説します。
1. 「情報の流れ(ライフサイクル)」で考える
Pマークにおいて、個人情報の管理は「物理的な紙の有無」ではなく、「情報のライフサイクル(取得〜利用〜委託〜消去)」で捉えます。
- 取得の起点:
従業員からマイナンバーや雇用保険の情報を預かった時点で、貴社の管理責任が発生します。 - 委託のプロセス:
「自社で作成せず、社労士にデータや書類を渡して手続きを依頼する」という行為自体が、PMS(個人情報保護マネジメントシステム)における「委託」という重要な取り扱いフェーズです。
もし台帳に記載がないと、審査員からは「この個人情報は、リスク分析や委託先の監督対象から漏れている(管理外である)」と判断され、重大な指摘事項となる可能性が高くなります。
2. 「保管・破棄欄」を空欄にしてはいけない理由
台帳の「保管・破棄」欄が空欄のままだと、「情報の最後がどうなるのかを貴社が把握していない」とみなされます。
- 責任の所在:
委託先が破棄するとしても、その破棄のタイミングや方法を指示・監督する責任は貴社にあります。 - 審査の視点:
審査員は「委託先で適切に処理されることを契約やルールで定めていますか?」という点を確認します。空欄は「管理の放棄」と捉えられかねません。
3. 実務的な「台帳への記入例」
手元に原本がない場合の、独自性を持たせた具体的な記入方法のアイデアをご紹介します。
| 項目 | 記入の考え方・例 |
|---|---|
| 保管場所 | 「社労士事務所(外部委託先)」または「社内には控えなし」と明記します。 |
| 保管期間 | 委託先での保管期間(例:退職後7年など)を記入するか、委託契約に基づき「委託先にて法定期間保管」と記載します。 |
| 媒体の形態 | 「電子データ(メール送信後消去)」や「紙(社労士にて作成・保管)」など、情報の動きがわかるようにします。 |
| 備考・破棄方法 | 「業務委託契約に基づき、委託先にて溶解処理」「社内には原本・控えを保持しない」といった特記を入れます。 |
4. 独自のアドバイス:審査員を納得させる「管理の証拠」
単に台帳を埋めるだけでなく、以下のセットで管理状況を示すと、満足度の高い(=精度の高い)運用となります。
- 委託先評価:
当該の社労士事務所を「委託先評価表」で適切に評価しているか。 - 契約書の締結:
個人情報の取扱いに関する契約(または覚書)が締結されているか。 - 窓口の明確化:
万が一、従業員から「自分の雇用保険の情報がどうなっているか」と問われた際、自社に原本がなくても「社労士事務所にこれだけの期間保管されています」と即答できる状態。
まとめ
「個人情報管理台帳」は、いわば貴社の個人情報の地図です。
「手元にないから書かない」のではなく、「手元にないものは、今どこにあって、誰が責任を持って管理しているのか」を地図に書き込むことが、Pマークが求める「適正な管理」の姿です。
弊社のサンプル様式では、このような「委託先管理」もスムーズに行える項目立てとなっております。今一度、台帳の備考欄などを活用して、情報の「行き先」を見える化してみてください。


