ISO9001社員教育用テキストの管理責任者の記述についての質問
お世話になっております。
ISO9001 社員教育用テキストで勉強しております。
ISO9001の基礎知識で「ISO9001は、管理責任者が中心となり運営されます。」との説明がありましたが、2015年度版要求事項には「管理責任者を任命しなければならない」という表現はなくなっています。
「JIS Q 9001:2015においてもa)からe)について責任をもって実行できる者を指名し、権限を割り当てることを意味しています」ともありますが、f)~j)はどのようにとらえればよろしいでしょうか。
5.1.1一般をどのように解釈したらいいのか、経営者は管理責任者と一体となっただけなのか詳しい解説をお願いします。
まず、「ISO9001の基礎知識」(P13 )の内容は、ISO9001:2015の「5.3 組織の役割,責任及び権限」で要求されている内容が、ISO9001:2008の「5.5.1 責任及び権限」および「5.5.2 管理責任者」に対応していることを説明したものです。
ご指摘のとおり、2015年版においては「管理責任者」を組織に置くことの要求はなくなっていますが、この要求事項から同等の責任と権限を、しかるべき人に割り当てることを意図していることが分かります。
管理責任者は、QMS上の役割であるため、経営者が担うことも可能です。
「5 リーダーシップ」の「5.1 リーダーシップ及びコミットメント」の「5.1.1 一般」に関してですが、トップマネジメントが5.1.1のa)からj)で示される活動に関してトップの関与が目に見える形で示される証拠を示すこととなります。
5.1.1のa)からj)に関して、以下に説明しますので、ご参考にしてください。
a)は、「説明責任」とあるように、トップマネジメントが決定及び行動に責任を持ち、問われたときには説明できることです。
b)は、「5.2.1 品質方針」を指しています。
c)は、QMSが形式的なものにならない。例えば、組織内で二重の仕組みにならないように避けるといったことです。
d)は、トップマネジメントがリスクに基づく考え方を含み、4.4に基づくプロセスに焦点を当てた管理手法を理解し、自ら率先して実施を促進することです。
e)は、「7.1 資源」が該当します。
f)は、「有効なQMSの重要性」と「QMS要求事項への適合性」の重要性を品質方針に反映したり、会議や朝礼などで伝えたりすることです。
g)は、「6 計画」で計画したことの実施をトップが支援することです。
h)は、品質マネジメントの原則の「人々の積極的参加」に対する具体的な実行を要求しています。
i)は、マネジメントレビューを有効に機能させ、確実に改善が促進されることが求められます。
j)は、各管理者にもリーダーシップが適切に発揮できるように、トップマネジメントによる適切な権限移譲を指します。「5.3 組織の役割,責任及び権限」と関連付けると良いでしょう。