誰でも取得できる「登記簿謄本」は、個人情報に該当しますか?
一般に公となっている本等に記載されているものは個人情報ではないと伺いしました。
とすると、誰でも取れる登記簿謄本は個人情報に該当しないと思いますが、如何でしょうか?
登記簿謄本などの「公にされている情報」の取り扱いについて回答申し上げます。
結論から申し上げますと、「登記簿謄本」に記載されている氏名や住所などの情報は、個人情報保護法およびJIS Q 15001における「個人情報」に該当します。
1. 個人情報の定義と「入手経路」の関係
個人情報の判断基準は「特定の個人を識別できるか否か」の1点に集約されます。情報が官報、電話帳、SNS、あるいは不動産登記簿のように公開されているものであっても、特定の個人を識別できる記述であれば、法的な「個人情報」として扱われます。
情報の入手経路が「官報」「電話帳」「インターネット」「不動産登記簿」のように、たとえ誰でも閲覧可能な状態であったとしても、その内容によって特定の個人を識別できるのであれば、法的な「個人情報」としての性質を失うことはありません。
2. ガイドライン(個人情報保護委員会)の指針
個人情報保護委員会が公開しているガイドライン「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」においても、個人情報に該当する具体的な事例として以下が挙げられています。
- 官報、電話帳、職員録、法定開示書類(有価証券報告書等)、新聞、ホームページ、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)等で公にされている特定の個人を識別できる情報
したがって、登記簿から情報を取得し、業務に利用・保存する場合は、個人情報としての適切な管理が必須となります。
3. 実務運用:利用目的の通知・公表
個人情報を取得した際は原則として利用目的の公表等が必要ですが、登記簿謄本の実務では以下の考慮がなされます。
- 利用目的が明らかである場合:
不動産取引の重要事項説明のために登記簿を確認する場合など、「取得の状況からみて利用目的が明らかである(法第21条第4項第4号)」とみなされる場合は、個別の通知を不要とする解釈が可能です。 - ただし、それ以外の目的(営業リストへの転用など):
取得した情報を名簿化して営業活動(DM発送等)に利用する場合は、原則通り利用目的の公表等の義務が生じます。
ちなみに、個人情報保護委員会のQ&Aにおいても、以下のような見解も示されています。
登記簿等を閲覧して個人情報を取得する場合も利用目的の特定が必要ですか。
登記簿等により公開されているものでも個人情報であることに変わりはなく、それを取得する場合には利用目的の特定が必要です。
4. Pマーク審査における注意点
Pマーク運用においては、入手先に関わらず、組織が保有する特定の個人を識別できる情報はすべて「個人情報管理台帳」に記載し、リスク分析の対象とする必要があります。公知の情報だからといって管理対象から除外しないようご留意ください。


