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10人以下の会社で就業規則が無い場合「違反者に対する罰則」はどのように記述したら良いか。

公開日:2020/08/19
※本記事は、ISM Web store が作成・検証したものです。

「個人情報取扱及び保護規定」の「4 従業者の監督」の項に、「(4)懲戒手続き」の記述があり、これについて以前、「弊社は10人以下の会社で、就業規則がありませんが問題ないでしょうか?」といったご質問をさせて頂きました。

その際、「就業規則は無くても問題はないでしょう」といった回答を頂いていたのですが、この場合に「違反者に対する罰則」についてをどのように書くべきかで困っています。

ネットで調べたところ、「懲戒というのは、就業規則で定めたことに対して違反したことに適用される」といった説明があり、就業規則が無い場合に「懲戒」といった用語を使うのは不適当かと思っています。

従いまして、「当社PMS規定において、解雇に近い重罰と定める」という意味の文章にしたいのですが、どのようにすれば良いでしょうか?

10名未満の小規模組織における「罰則規定」の考え方について、実務的な観点から回答申し上げます。

結論から申し上げますと、就業規則がない場合でも、PMS規程内で「違反時の措置」を明確にし、従業員に周知(同意)されていれば、それを根拠に処分を行うことは可能です。ただし、法的なリスクを避けるため、表現には工夫が必要です。

社内での合意形成と審査対策を両立させるため、以下の3つのポイントで整理・検討されることを推奨いたします。

1. 「懲戒」という用語の考え方

ご懸念の通り、一般的に「懲戒」は就業規則とセットで語られる言葉です。就業規則がない環境では、以下の表現への置き換えを検討してください。

  • 推奨用語:
    「就業上の措置」「服務規律違反への対処」「人事処分」など。
  • 有効性の担保:
    用語の名称よりも、「事前にルールが示され、従業員がそれを見られる状態にあったか」という事実が重要視されます。

2. 罰則規定の具体的な書き方(リライト案)

「解雇に近い重罰」と記載したいというご意向についてですが、日本の労働法体系では、過失による事故に対して即座に解雇を適用するのは非常にハードルが高いのが現実です。

規程には「重罰にする」と断定的に書くのではなく、「処分の幅」を持たせる書き方をお勧めします。

判断のポイントとしては、処分を決定する際は、①故意(わざと)か過失(ミス)か、②背信性(会社を裏切る目的)があるか、③実害の程度、の3点を総合的に判断する旨を付け加えると、規定の妥当性が一気に高まります。

「解雇に近い重罰」という意図を、法的・審査的妥当性を持たせて記載する例です。

【規程の記述例】

「本規程に違反した従業者に対しては、その内容、情状、及び会社に与えた影響の程度を調査・検討した上で、厳重注意、減給、降格、又は解雇を含む就業上の措置を講ずるものとする。」

3. 運用のポイント

小規模組織においては、規程をガチガチに固めることよりも、「入社時の誓約書」に「本規程に違反した場合は、損害賠償や処分の対象となること」を明記し、本人と合意しておくことが、実務上最も強力なリスクヘッジとなります。

Pマーク運用においては「性悪説」に立ちつつも、実際の処分には慎重さが求められます。

  • 故意と過失の区別:
    故意や背信行為(名簿の売却等)は解雇の対象になり得ますが、単純なミスによる漏えいでは、まず教育や訓告を行うのが一般的です。
  • 誓約書との連動:
    規程の変更とあわせて、入社時の「個人情報保護に関する誓約書」に罰則についての言及を含めておくことで、より強固な監督体制となります。

個人情報漏洩を起こした社員に対して「懲戒解雇」まで踏み切れるかどうかは、その行為が故意によるものなのか、また背信的な目的があったか、情報の機密性はどの程度か、会社に実害が生じたかといったようなポイントをもとに調査、検討する必要があります。

行為の背信性が認められない場合や過失による漏洩の場合は、「懲戒処分」や「人事処分(降職、減給、配転など)」を行うことは可能ですが、「懲戒解雇」については慎重に考えることになるかと思います。

これらを踏まえ、例えば故意によるものであれば「懲戒解雇」、そうでない場合は「懲戒処分」や降職、減給、配転などといった「人事処分」を行うといったような記載方法も考えられることをお勧めします。

ISM Web store

執筆・監修: カスタマーサポート

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