品質目標が「手段」になっているとの指摘を受けましたが、適切な目標設定と帳票管理はどうすべきですか?
お世話になります。
先日、外部審査が終了し、審査官より次の指摘を受けました。
「当社の各部門の品質目標設定では、目標値が手段になっており、目標値ではない。」
例:システムの改善
指摘理由:
何のためにシステムを改善するのかが不明。
何にかがあるため、手段としてシステムを改善するのであれば、意味はわかるが目標値としてシステム改善をあげるのはおかしい。
言っている意味は理解できますが、貴社の品質目標実施計画書を参照すると、当社が利用している審査会社が指摘した案件については、反映されていないような気がします。
具体的にどのようにして各Grの品質目標を管理するか帳票作成で困っています。 アドバイスを頂ければ幸いです。
外部審査での「目標値が手段になっている」という指摘事項について、ISO 9001:2015の要求事項に基づき整理いたしました。
結論から申し上げますと、審査員の指摘は「何を実現したいか(結果)」と「そのために何をするか(プロセス)」を明確に分離すべきであるという妥当なものです。
1. ISO 9001:2015(規格 6.2)に基づく考え方
「品質目標」とは、関連する機能・階層及びプロセスにおいて、どのような活動を通して、品質方針にどのように応えるのかということになり、それがどれだけ達成できているかを明確に測定し、継続的に改善していくこととなります。
2015年版では、目標の設定(6.2.1)と、それを達成するための計画(6.2.2)をセットで管理することが求められています。
- 品質目標(6.2.1):
測定可能(目標値)であり、品質方針と整合している「目指すべき状態」。 - 達成計画(6.2.2):
目標を達成するために「何を実施するか」という具体的なアクション。
審査員の指摘は、6.2.1(目標)の欄に、本来 6.2.2(計画・手段)に書くべき内容が記載されているという点にあると考えられます。
2. 「目標」と「手段」の書き換え例
ご質問のケースを、規格に適合する形に整理すると以下のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 品質目標(結果) | 受注処理における入力ミスを月間3件以内に抑える(目標値) |
| 実施計画(手段) | 入力チェック機能を備えた「システムの改善」を実施する |
「システムの改善」は、あくまで目標を達成するための「手段」として位置づけます。
現状の「目標:システムの改善を行う」だと、「指摘:なぜ改善するのか?改善した結果、どうなりたいのか(目標値)が見えない。」となっています。
3. 帳票運用の改善アドバイス
弊社の「品質目標実施計画書」を活用される際は、以下の点に留意して記入・修正を行ってください。
- 目標欄:
「〇〇を向上させる」「〇〇を削減する」など、目指す結果と具体的な数値を記載する。 - 手段・計画欄:
そのために行う具体的な活動(システム改修、教育の実施など)を記載する。 - 判定基準・評価方法:
完了したかどうかだけでなく、目標値が達成されたかをどう測るかを明確にします。
審査の際は、「項目名は〇〇だが、実質的に目標値はここで管理しており、手段と区別している」と説明するか、項目名自体を「目標値」に変更することで是正が可能です。
帳票を拝見させていただきましたところ、「品質方針」が別にあり、帳票の「品質方針の展開」の部分が「品質目標」で、その実施項目として「グループ目標」があり、その判定基準として「管理項目」「管理基準」「予防基準」があるとも見受けられます。
そうであれば、帳票の項目名のみを変更(例えば、管理基準を目標値に変更)し、審査員にそのように説明することで是正できるかもしれません。




