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品質マニュアルの内外課題の項目はすべて必要ですか

05.14.2020

ISO9001サンプル文書の品質マニュアルに関して質問です。

「4.1組織及びその状況の理解」における内外の課題にa)からi)までありますが、これはすべて記入しないといけないのでしょうか?

結論から申し上げますと、当サンプル文書にて記載させているa)からi)は、一つの事例としてお考えください。
よって、a)からi)まですべてを記入すべきかというより、ISO9001規格では組織の「品質マネジメントシステム」に関連する範囲で「課題」を明確にし、決定することが求められているだけなので、できるだけ重要なものが漏れないように網羅的に行うことがポイントになります。

ISO9001:2015の「4.1組織及びその状況の理解」では、意図した結果を達成するための「組織の能力」に影響を与える外部及び内部の課題の明確化が要求されているだけで、それが何とは要求されていません。
「組織の能力」とは、製品及びサービス提供に関する知識を含む経営資源や、それらを管理し活用する能力を指し、これらに影響を与える課題を明確にすることが、有効な品質マネジメントシステムを構築する上で重要になるとされています。

優秀な人材の不足やベテラン社員の退職、設備の老朽化や容量・性能不足、原材料の入手困難や高騰、協力会社の移転や廃業、既存市場の縮小など、組織には様々な内外の課題があり、これらは顕在化しているものもあれば、今後生じる可能性のものもあるでしょう。
ISO9001の4.1に加え4.2では、品質マネジメントシステムの内容や目標などを設定する際の基本(前提)とされ、具体的な要求はなされていません。

当サンプル文書では、どのような課題を抽出したら良いか分かりやすくするために「ISO/IEC専門業務用指針」の「共通テキスト」の開発を進めた組織(JTCG:Joint Technical Coordination Group)のガイダンス文書に記載された、「取り組むべき重要課題の例」(以下参照)を参考にしております。
ちなみに、ISO/IEC専門業務用指針とは、組織が複数のマネジメントシステムを導入することを考慮して開発された指針で、ISO9001もこれに基づいて改訂されました。

〈外的な課題の例〉

  • 国際、国内、地域又は地方を問わず、文化、社会、政治、法律、規制、財務、技術、経済、自然及び競争の状況
  • 環境特性、又は気候・汚染・資源入手可能性・生物多様性に関連する状態、及び、組織がその目的を達成する能力に対してこれらの状態が与える影響

〈内的な課題の例〉

次に示すような、組織の特性又は状態

  • 組織の統治、情報の流れ及び意思決定プロセス
  • 組織の方針、目的、及びこれらを達成するために策定された戦略
  • 資源の観点から見た組織の能力(例えば、資本、時間、人員、知識、プロセス、システム、技術)
  • 組織の文化
  • 組織が採択した標準、指針、モデル
  • 組織の製品及びサービスのライフサイクル