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【図解】テレワークの7つの方式とは?VPNやVDIなど各手法のメリット・デメリット解説

更新日:2022/05/31 (公開日:2020/10/21)
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※本記事は、ISM Web store が作成・検証したものです。

企業の情報資産は、多くの場合、オフィスの中で管理され、外部の目に触れることはありません。

しかし、テレワークを行う場合、インターネット上をデータが流れたり、持ち運びが容易なノートパソコン等の端末で利用されたりします。そのため、セキュリティ対策がなされたオフィス環境とは異なり、マルウェアの感染、端末や記録媒体の紛失・盗難、通信内容の盗聴等といった「脅威」にさらされやすいといえます。

さらに、端末の構成・設定や使い方において脅威に対する「脆弱性」が存在すると、情報漏えいや情報の消失などといった実際の事故の発生につながります。

このような事故の発生を防ぐためのテレワーク実施方法には、活用するシステムや環境などにより複数の選択肢が存在します。

テレワークで利用する端末種別(PC、タブレット、スマートフォン)やオフィスネットワークへの接続方式(VPN、リモートデスクトップ、セキュアブラウザ)、テレワーク端末(会社支給や従業者所有)へのデータ保存の有無などといった要素により、考慮すべきセキュリティ対策も変わってきます。

この記事で解決できること

  • 自社に最適なテレワーク方式の選び方が分かる
  • 各テレワーク方式のメリット・デメリット(トレードオフ)が整理できる
  • テレワーク環境に潜むセキュリティ脅威と対策が把握できる

目次

テレワークセキュリティの全体像と7つの方式

※画像クリックでPDFが表示されます

上図は、総務省が発行している「テレワークセキュリティガイドライン」および「中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)」を参考に、テレワークの全体像と取り巻く脅威、それらに対するセキュリティ対策方法を図示したものです。

なお、これに示したテレワーク方法以外にも、作業内容や費用等により様々な方法があります。本資料が、企業等がテレワークを実施するにあたり、どのような方法で、どのようなセキュリティ対策を講じるべきかを考える際のお役に立てば幸いです。

本資料に用いた、以下の公的資料も合わせてご参考ください。

テレワークの7つの方式

以下は、上図および総務省「テレワークセキュリティガイドライン」に示されている7つのテレワーク方式を分かりやすく解説したものです。

パターン① VPN方式

テレワーク端末からオフィスネットワークにVPN接続を行い、オフィス内のファイルサーバやクラウドサービス等に接続して業務を行う方法です。テレワーク端末が物理的にオフィス内にある場合とほぼ同じ環境で業務が可能です。

  • メリット
    オフィスネットワーク内に設置されたセキュリティ機器を介して接続するため、社内リソースへのアクセスを統制しやすく、オフィス内にいるときとほぼ同等の環境で業務が可能です。
  • デメリット
    テレワーク端末側にデータをダウンロードして保存できる(残る)ため、情報の不正な持ち出しや、端末の紛失・盗難による情報漏えいリスクへの対策が別途必須となります。

パターン② リモートデスクトップ方式

「リモートデスクトップ」とは、ソフトウェアを用いてオフィスのPC画面をネットワーク経由で手元の端末へ転送し、遠隔操作する方法です。実際にデータ処理を行うのはオフィス内の端末であるため、オフィス内にいる場合と同じように業務が行えます。

  • メリット
    オフィス内のセキュリティ環境をそのまま利用できるほか、テレワーク端末側へのデータ保存を制限(禁止)できるため、情報漏えいリスクが低くデータ管理が容易です。
  • デメリット
    画面転送を常時行うため、通信回線の帯域(スピード)を消費しやすく、ネットワークの混雑や遅延が作業の快適性に直接影響します。また、オフィスの自席PCの電源を常にONにしておく必要があります。

パターン③ 仮想デスクトップ(VDI)方式

オフィスのサーバ上で提供される仮想デスクトップ基盤(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)に、テレワーク端末から遠隔でログインして利用する方法です。「リモートデスクトップ方式」が個人の物理PCに接続するのに対し、接続先を専用サーバ上の仮想環境に集約させたものです。

  • メリット
    手元の端末にデータを残さないため安全性が高く、データ管理が容易です(ローカルブレイクアウト時を除く)。また、すべてのデスクトップ環境をシステム管理者がサーバ側で一括管理・アップデートできるため、セキュリティ統制を集中管理しやすいメリットがあります。
  • デメリット
    常時接続で画面転送を行うため、通信回線の帯域不足や通信遅延の影響を受けやすくなります。また、専用のサーバ基盤(VDI)を構築・維持するための初期費用や運用コストが高額になりがちです。

パターン④ セキュアコンテナ方式

テレワーク端末内に、通常のOS環境とは隔離された「セキュアコンテナ」と呼ばれる暗号化・仮想化された領域を設け、そのコンテナ環境内でのみアプリケーションを動作させて業務を行う方法です。

  • メリット
    セキュアコンテナ内のアプリはローカル環境(端末本体)にアクセスできないため、端末側にデータを残さず安全に利用できます。また、アプリ自体は手元の端末側で動作し、必要なデータのみをやり取りするため、画面転送方式(リモートデスクトップ等)に比べて通信回線の影響を受けにくいのが特徴です。
  • デメリット
    セキュアコンテナ内で動作を許可された特定のアプリケーションしか利用できないため、業務の柔軟性が限定される場合があります。

パターン⑤ セキュアブラウザ方式

テレワーク端末上で「セキュアブラウザ」と呼ばれる機能を制限した専用ブラウザを利用し、社内システムやクラウドサービスにアクセスして業務を行う方法です。

  • メリット
    ファイルのダウンロードやローカルへの保存、印刷、コピー&ペースト等の機能をブラウザ側で制限できるため、端末へのデータ残存を防げます。ブラウザ表示に必要な最小限のデータ転送のみで済むため、常時接続が必要な画面転送方式に比べて通信回線への負荷が小さいです。
  • デメリット
    ブラウザ上で動作するWebアプリケーション(クラウドサービスやWebベースの社内システム)に業務が限定されるため、専用ソフトを必要とする業務には対応できません。

パターン⑥ クラウドサービス方式

オフィスネットワークを経由せず、テレワーク端末から直接、インターネット上のクラウドサービス(SaaS等)に接続して業務を行う方法です。

  • メリット
    自社の社内ネットワークやVPN機器を経由せず直接サービスにアクセスするため、アクセスの集中による社内回線の混雑やVPN機器のボトルネック(速度低下)を回避し、スムーズに業務を行えます。
  • デメリット
    利用するクラウドサービスによっては端末へのデータ保存が可能であるため、端末へのデータダウンロードによる情報の持ち出しや紛失・盗難による漏えいリスクがあります。また、サービスごとに適切なID・アクセス権管理(ゼロトラスト的なアプローチ)やログ管理を行わないと、従業員の利用状況を企業側で把握・統制することが困難になります。

パターン⑦ スタンドアロン方式

テレワーク時にオフィスネットワークやインターネットには接続せず、あらかじめ端末内に保存しておいたデータの編集や閲覧を行う方法です。

  • メリット
    既存の端末を活用できるため、特別なネットワーク機器や専用のシステムを新設せず、コストを抑えて一時的に実施することが可能です。通信を行わないため、回線の混雑問題も一切発生しません。
  • デメリット
    事前に準備したデータのみに業務が限定され、処理した結果をリアルタイムに社内へ共有・反映できないため、長期間のテレワークには不向きです。また、端末に直接データが残るため、紛失・盗難時の漏えいリスクや持ち出しリスクが非常に高く、強固な端末暗号化や運用ルールが必要となります。

まとめ

テレワークの導入・運用においては、コストや利便性だけでなく、自社の業務特性に合わせた「セキュリティ方式の選定」が極めて重要です。今回ご紹介した7つの方式は、それぞれ以下のような明確なトレードオフ(一長一短)があります。

  • セキュリティ最優先(データを残さない方式)
    リモートデスクトップ方式や仮想デスクトップ(VDI)方式、セキュアコンテナ・セキュアブラウザ方式は、手元の端末にデータをダウンロードさせないため、紛失や盗難による情報漏えいリスクを最小限に抑えられます。ただし、通信環境への依存度や導入コストが高くなる傾向があります。
  • 利便性・コスト優先(データをローカルで扱う方式)
    VPN方式やクラウドサービス方式、スタンドアロン方式は、既存の端末を活用しやすく、柔軟でスムーズな業務運用が可能です。しかし、端末側にデータが残る、あるいは直接アクセスできるため、強固な端末管理(デバイス暗号化やアクセス権統制)や従業員のセキュリティ教育がセットで必須となります。

テレワーク方式選定のステップ

  1. 業務内容の整理:
    「Webブラウザだけで完結するか」「専用ソフトや高度な処理が必要か」を洗い出す。
  2. リスクの許容度:
    「端末へのデータ残存を許可するかどうか」を経営・セキュリティ方針として決定する。
  3. コストとインフラの確認:
    初期費用や運用リソース、社内回線の帯域に余裕があるかを評価する。

総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」でも示されている通り、一概に「この方式が正解」というものは存在しません。自社の予算とセキュリティポリシーに照らし合わせ、最適なバランスの方式を選択しましょう。

ISM Web store

執筆・監修:ISM Web store カスタマーサポート

ISMS、プライバシーマーク、ISO9001の取得・運用支援において、25年以上のコンサルティング実績を持つ専門チームが執筆しています。現場での指導経験と、数多くの審査対応ノウハウを凝縮して制作した文書・教育用テキストを販売しています。ご購入の有無にかかわらず、無料メールサポートにて専門家が直接お答えします。