ISMS, プライバシーマークに関するさまざまな資料と役立つリンク集

【図解】ISMS 附属書A(ISO 27001:2005)とは?11領域・133の管理策を整理

更新日:2024/06/30 (公開日:2009/07/14)
ISMS解説資料.  19,554 views
※本記事は、ISM Web store が作成・検証したものです。

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の構築において、最も実務的かつ具体的な指針となるのが「附属書A」に規定された管理策です。

ISMSの規格要求をより深く、そして実務に即して理解するためには、最初の国際標準である「ISO/IEC 27001:2005」の附属書Aを確認することが非常に有益です。本記事では、その違いと、基礎となった2005年版の全体像を図解とともにわかりやすく解説します。

この記事で解決できること

  • 最新規格(ISO/IEC 27001:2022 / JIS Q 27001:2023)の「4分類」だけでは社内規程が作りにくい理由
  • 「機能するルール作り」には2005年版の考え方が全体イメージを膨らませる手助けになる
  • ISMSの基礎となった2005年版(BS7799ベース)の「実務に直結する体系」が理解できます

目次

2005年版と2023年版の附属書Aの違い:実務的な視点から

最新のJIS Q 27001:2023(ISO/IEC 27001:2022)の附属書Aでは、管理策が「組織的」「人的」「物理的」「技術的」の4つのテーマにすっきりと整理され、現代のビジネス環境に適合しやすくなりました。
しかし、これはあくまで管理策を多角的な視点(属性)で分類したものであり、これらは互いに排他的ではなく、1つの管理策が「組織的」「技術的」など、複数のテーマにまたがることもあります

そこで役立つのが、ISMSの基礎を築いた2005年版の視点です。2005年版(旧規格)の構成には、今なお実務において極めて強力なメリットがあります。

2005年版は「資産の管理」「物理的及び環境的セキュリティ」「通信及び運用管理」など、より具体的かつ実務の役割に直結した区分になっていました。これはISMSの根本的な考え方が色濃く反映された、いわば「情報セキュリティの原点」とも言える構造です。

そのため、最新規格の4テーマ区分をベースにしながらも、実際に自社へ管理策を落とし込み、「誰が、どの場面で、何をすべきか」という具体的な運用全体のイメージを膨らませる際の手がかり(ガイドライン)として、2005年版の具体的な区分を参考にすることは極めて有効です。
「誰が、どの場面で、何をすべきか」を直感的に理解する上で、2005年版の具体的な区分は、実務的な全体像をクリアに描き出すための大きな助けになります。

ISO/IEC 27001:2005 附属書Aの内容(11領域・133の管理策)

133の管理策を関連性やセキュリティ目的とともに視覚的に整理した図解資料です。複雑な要求事項を直感的に整理できることから、多くの情報セキュリティ担当者の方々より「全体像がようやく腑に落ちた」「社内教育での説明や新任担当者への引き継ぎがスムーズになった」と大変ご好評をいただいています。

ISO27001:2005 附属書A 管理策の体系図解

※画像クリックでPDFが表示されます

以下は、2005年版の133の管理策における「11の管理領域」と「39の管理目的」の体系です。各領域が「どの部門・役割に対応しているか」を意識しながらご覧ください。

A.5 セキュリティ基本方針(経営層・委員会が主導する領域)

情報セキュリティに対する経営陣の方向性及び支持を規定します。

  • A.5.1 情報セキュリティ基本方針: 経営陣の指示及びビジネス要件に従い、情報セキュリティの方向性を定めます。

A.6 情報セキュリティのための組織(社内体制・法務の領域)

社内のセキュリティ体制と、外部(顧客・パートナー)との関係を管理します。

  • A.6.1 内部組織: 社内の情報セキュリティを推進・管理する体制を確立します。
  • A.6.2 外部組織: 外部委託先や顧客などの第三者がアクセスする際の安全性を確保します。

A.7 資産の管理(すべての部門・資産管理者の領域)

組織の情報資産を洗い出し、適切な保護責任を明確にします。

  • A.7.1 資産に対する責任: 組織の資産を特定し、適切な保護責任を割り当てます。
  • A.7.2 情報分類: 情報の重要度や機密性に応じた分類を行い、適切な取り扱い基準を定めます。

A.8 人的資源のセキュリティ(人事・総務が主担当となる領域)

雇用前・雇用期間中・雇用の終了時における、従業員のセキュリティ責任を明確にします。

  • A.8.1 雇用前: 採用時のスクリーニングや、契約書における責任の明文化を行います。
  • A.8.2 雇用期間中: セキュリティ教育の実施や、違反時の懲戒手続きを定めます。
  • A.8.3 雇用の終了又は変更: 退職や異動の際、情報資産の返却やアクセス権の即時剥奪・変更を確実に行い、情報の持ち出しを防ぎます。

A.9 物理的及び環境的セキュリティ(総務・施設管理が主担当となる領域)

オフィスやサーバー室への不正立ち入り、および機器の損傷・妨害を防ぎます。

  • A.9.1 セキュリティを保つべき領域: 許可された人間だけが立ち入れるよう、物理的な境界や防壁を設けます。
  • A.9.2 装置のセキュリティ: 停電や災害による業務停止、および機器の損失、損傷、盗難又は劣化を防ぎます。

A.10 通信及び運用管理(IT・システム運用部門の領域)

情報処理施設の適切な運用、ネットワークの保護、および運用の安全性を確保します。

  • A.10.1 運用の手順及び責任: 情報処理設備の正確かつセキュリティが確保された運用を実現します。
  • A.10.2 第三者が提供するサービスの管理: 外部委託先のサービスレベルを維持・監視します。
  • A.10.3 システムの計画作成及び受入れ: 将来的な容量不足によるシステム停止を防ぐため、リソース(容量)の計画を立てるとともに、新規システムの受け入れテスト基準を定めます。
  • A.10.4 悪意のあるコード及びモバイルコードからの保護: ウイルスやマルウェアの侵入を防ぐため、検知・予防・復旧対策を実施し、不審なプログラム(モバイルコード)の実行を制限します。
  • A.10.5 バックアップ: 障害や災害、ランサムウェア攻撃などによるデータ消失に備え、バックアップの取得・保管・復旧テストを定期的に実施します。
  • A.10.6 ネットワークセキュリティ管理: ネットワーク全体の安全性を確保し、通信経路上の情報や接続されるシステムを不正アクセスから保護します。
  • A.10.7 媒体の取扱い: USBメモリやハードディスク、紙媒体などの物理的な記録媒体について、紛失・盗難を防ぐための保管・輸送・廃棄のルールを定めます。
  • A.10.8 情報の交換: 外部とのメール送信、ファイル共有、組織間での情報移行において、情報の漏洩や誤送信を防ぐための安全な手続きや合意を交わします。
  • A.10.9 電子商取引サービス: オンライン決済やWebサービスにおいて、不正利用、トランザクションエラー、情報改ざんなどを防ぎ、安全な取引環境を確保します。
  • A.10.10 監視: システムやネットワークの利用状況をログとして記録し、不正アクセスの兆候やエラー、セキュリティ事象を早期に検知・監視します。

A.11 アクセス制御(IT・システム管理者および各資産管理者の領域)

業務に必要な人だけに必要な権限を与え、情報への不正なアクセスを防止します。

  • A.11.1 アクセス制御に対する業務上の要求事項: 業務上の必要性(Need-to-Know原則)に基づき、アクセス制御方針を策定します。
  • A.11.2 利用者アクセス管理: 利用者の登録から権限付与、パスワード管理、権限の見直しまでを厳格に行います。
  • A.11.3 利用者の責任: パスワードの適切な管理や、離席時のPCロックなど、利用者が遵守すべきルールを定めます。
  • A.11.4 ネットワークのアクセス制御: ネットワークやサービスへのアクセスを制限し、不正な接続を防ぎます。
  • A.11.5 オペレーティングシステムのアクセス制御: OSレベルでのログイン制御や、システムユーティリティの使用制限を行います。
  • A.11.6 業務用ソフトウェア及び情報のアクセス制御: 個別のアプリやデータベース内での情報アクセスを制限します。
  • A.11.7 モバイルコンピューティング及びテレワーク: 社外でモバイル機器を使用する際や、リモートワーク時のセキュリティを確保します。

A.12 情報システムの取得、開発及び保守(システム開発・情シス・調達部門の領域)

システムの新規導入や自社開発、メンテナンスにおいて、セキュリティが確実に組み込まれるようにします。

  • A.12.1 情報システムのセキュリティ要件: システムを新規に導入・構築する際、セキュリティ要件を明確に定義します。
  • A.12.2 業務用ソフトウェアでの正確な処理: データの入力・処理・出力において、エラーや不正な書き換えを防止します。
  • A.12.3 暗号による管理策: データの機密性や完全性を守るため、適切な暗号化や鍵管理のルールを定めます。
  • A.12.4 システムファイルのセキュリティ: 開発や検証環境で使用するソースコードやテストデータの管理を徹底します。
  • A.12.5 開発及びサポートプロセスにおけるセキュリティ: 開発やシステム保守のプロセス全体における安全な変更管理を確立します。
  • A.12.6 技術的ぜい弱性管理: 利用しているOSやソフトウェアの脆弱性情報を適時入手し、パッチ適用などの対策を行います。

A.13 情報セキュリティインシデントの管理(全従業員およびCSIRT・緊急対応窓口の領域)

セキュリティ上の問題や事故が発生した際、迅速に報告・対応し、被害を最小限に抑えます。

  • A.13.1 情報セキュリティ事象及び弱点の報告: 異常やミスに気づいた際、従業員が迅速に報告できる連絡ルートを確立します。
  • A.13.2 情報セキュリティインシデントの管理及びその改善: 発生したインシデントへの対応手順を定め、再発防止に向けた学習と改善を行います。

A.14 事業継続管理(経営層・BCP策定委員会・総務部門の領域)

災害や重大な障害が発生しても、組織の重要なビジネスプロセスを中断させず、速やかに復旧できるようにします。

  • A.14.1 事業継続管理における情報セキュリティの側面: BCP(事業継続計画)の策定段階から、情報セキュリティの継続性を組み込みます。

A.15 順守(法務・コンプライアンス部門・監査役の領域)

関連する法令、規制、契約上の義務、および社内のセキュリティ監査への適合を確実にします。

  • A.15.1 法的要求事項の順守: 著作権法、個人情報保護法、暗号規制など、関連するあらゆる法的要件を特定し遵守します。
  • A.15.2 セキュリティ方針及び標準の順守、並びに技術的順守: 社内ルールが適切に守られているかを監査し、必要に応じてシステム的な技術監査を実施します。
  • A.15.3 情報システムの監査に対する考慮事項: 監査作業が日常の業務運営やシステム稼働に与える影響を最小限に抑えます。

まとめ:実務に耐えうる規程・マニュアル構築のために

現在の最新版であるISO/IEC 27001:2023(JIS Q 27001:2023)は、クラウドの普及やリモートワークなど「現代の脅威」に対応するために非常に優れた規格となっています。しかし一方で、「規格の分類通りに社内規定や業務マニュアルを整理しようとすると、実際の組織体制や現場のオペレーションと整合性が取れずに混乱を招く」という実務上の落とし穴が存在します。

ISMSの構築において本当に重要なのは、形だけの規格準拠ではなく、自社の実務に即した「機能するルール」を作ることです。その点において、セキュリティ目的ごとに細分化されていた2005年版(BS7799ベース)の体系的な考え方は、今なお社内規定を設計するための最高のお手本と言えます。

当ストアでは、こうした規格の歴史的変遷や、現場が本当に運用できる実務目線を徹底的に反映した「ISMS構築・運用サンプル文書集(規程・マニュアル一式)」をご提供しています。コンサルタントに頼らず、自社でスムーズに実態に即したISMSを構築したい担当者の方は、ぜひ当ストアのサンプル文書集をご活用ください。

効率的で“形骸化しない”ISMS構築をサポート

最新規格に対応しつつ、実務組織にそのまま落とし込める実践的なマニュアル・帳票類を豊富に取り揃えています。自社でのISMS新規構築や、既存マニュアルのスリム化にぜひお役立てください。

ISM Web store 商品一覧を見る

ISMSの基礎となった「ISO/IEC 27001:2005」附属書Aの11領域・133の管理策を、わかりやすい図解付きで徹底解説!最新規格(2022年版/2023年版)の4分類だけではイメージしにくい実務への落とし込みや、社内規定・ルール構築のヒントを解説します。

ISM Web store

執筆・監修:ISM Web store カスタマーサポート

ISMS、プライバシーマーク、ISO9001の取得・運用支援において、25年以上のコンサルティング実績を持つ専門チームが執筆しています。現場での指導経験と、数多くの審査対応ノウハウを凝縮して制作した文書・教育用テキストを販売しています。ご購入の有無にかかわらず、無料メールサポートにて専門家が直接お答えします。