【図解】コンピュータウイルスの5つの分類と特徴|トロイの木馬・ワーム・ボットの役割を整理
「コンピュータウイルスにはどのような種類があるのか」「それらはどのような被害をもたらすのか」について、疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
情報セキュリティ対策の基本として、まずは敵を知ることが重要です。ここでは、コンピュータウイルスの定義や種類、そしてそれらを利用したサイバー攻撃の関係性を図解とともに分かりやすく解説します。
この記事で解決できること
- マルウェアとコンピュータウイルスの正確な違いがわかる
- 代表的なマルウェアの5つの分類とそれぞれの特徴が理解できる
- サイバー攻撃の現代の目的や現状を知ることができる
目次
混同しがちな「マルウェア」と「ウイルス」の違い
一般的に、パソコンやスマートフォンに侵入して被害をもたらす悪質なプログラムは、すべて「ウイルス」と一括りにされがちです。しかし、セキュリティの正確な定義において、「ウイルス」は悪質なプログラム全体の一部に過ぎません。
こうした悪意のあるプログラムやソフトウェア全体の総称を、英語の「Malicious(悪意のある)」と「Software(ソフトウェア)」を組み合わせて「マルウェア(Malware)」と呼びます。日本語では「不正プログラム」と同義です。
つまり、関係性としては「マルウェア」という大きな枠組みの中に、「コンピュータウイルス」や「スパイウェア」などが含まれているイメージです。
国(経済産業省)による「コンピュータウイルス」の定義
ちなみに、日本の「コンピュータウイルス対策基準」では、コンピュータウイルスを『第三者のプログラムやデータベースに対して意図的に何らかの被害を及ぼすように作られたプログラムであり、次の機能を一つ以上有するもの』と定義しています。
- (1)自己伝染機能
- 自らの機能によって他のプログラムに自らをコピーし、またはシステム機能を利用して自らを他のシステムにコピーすることにより、他のシステムに伝染する機能
- (2)潜伏機能
- 発病するための特定時刻、一定時間、処理回数等の条件を記憶させて、条件が満たされるまで症状を出さない機能
- (3)発病機能
- プログラムやデータ等のファイルの破壊を行ったり、コンピュータに異常な動作をさせる等の機能
代表的なマルウェア(不正プログラム)の5つの分類
現在、マルウェアは「自己増殖するかどうか」「他のファイルに寄生するか」などの動作や特徴によって、主に以下の5つに分類されることが一般的です。(※複数の機能を持つ複合型も増えているため、境界線は曖昧になりつつあります)
| 分類 | 主な特徴・動作 |
|---|---|
| 1. コンピュータウイルス | 単体では存在できず、ExcelやWord、実行ファイル(.exe)など他の正常なプログラム(宿主)に寄生して増殖するタイプ。マクロ機能を利用する「マクロウイルス」もここに含まれます。 |
| 2. ワーム | ウイルスとは異なり、宿主となるファイルを必要とせず、単体で独立して動作するプログラム。ネットワークを介して非常に速い速度で自己拡散(増殖)するのが特徴です。 |
| 3. トロイの木馬 | 一見すると便利なアプリや画像ファイルなど、無害なプログラムを装ってユーザーに実行させるタイプ。自己増殖はしませんが、裏でバックドア(勝手口)を作り、外部からの侵入を手引きします。 |
| 4. ボット(Bot) | 感染したPCを、外部の攻撃者がネットワーク経由で遠隔操作(リモートコントロール)できるようにしてしまうプログラム。知らないうちに、他者へのDDoS攻撃の踏み台にされるリスクがあります。 |
| 5. ランサムウェア | 近年、企業にとって最大の脅威となっているマルウェア。感染するとPC内のデータを勝手に暗号化して使えなくし、元に戻すことと引き換えに「身代金(ランサム)」を要求します。 |
マルウェアの目的変化とサイバー攻撃の現状
マルウェアがコンピュータに侵入した際に行う具体的な悪質行為(活動)には、以下のようなものがあります。
- データの破壊・改ざん: ファイルの削除やドライブの強制フォーマットなど
- 機密情報の窃取: 個人情報、顧客リスト、ID・パスワード、暗証番号などの漏えい
- 遠隔操作: 外部からPCを操り、他の組織への攻撃の「踏み台」にする
- システムの停止・暗号化: 業務を麻痺させ、金銭を要求する(ランサムウェアなど)
- リソースの不正消費: 暗号資産のマイニング(採掘)を勝手に行い、動作を重くする
愉快犯から「組織的な金銭獲得・犯罪ビジネス」へ
かつてのコンピュータウイルスは、自身の技術力の誇示や、世間の混乱を面白がる「愉快犯」「売名行為」によるものが主流でした。
しかし、現代のサイバー攻撃は完全に様変わりしています。現在の主な目的は、「特定の企業や組織、個人を狙った明確な金銭略奪」および「機密情報の窃取」です。
攻撃者は、標的型攻撃(特定の組織を狙い撃ちする手法)やビジネスメール詐欺(BEC)、ランサムウェアなどを駆使し、奪い取ったデータや企業の弱みに付け込んで巨額の利益を得ようとする「犯罪ビジネス」へと高度化・組織化しています。
まとめ:組織を守るための情報セキュリティ対策を
これまで紹介したさまざまなマルウェアは、単体で機能するだけでなく、複数の特徴を組み合わせた「複合型」として日々新しい亜種が生まれています。
企業や組織がこれらの脅威から重要な情報を守るためには、セキュリティソフトの導入だけでなく、OS・ソフトウェアの最新化、そして「怪しいメールやリンクは開かない」といった従業員一人ひとりの情報セキュリティ教育(リテラシー向上)が不可欠です。
当ストアでは、ISMS(ISO 27001)やプライバシーマーク(JIS Q 15001)の取得・運用に役立つ社内教育用テキストや各種規程のサンプルをご用意しています。組織の強固なセキュリティ体制構築にぜひお役立てください。

